
Ural owl project Japan
since 2015
Our Projects
このプロジェクトは、「保護・研究・教育」を柱に、巣箱の製作・設置による繁殖支援、生態研究、地域との協働を通して、フクロウの保全と生物多様性の維持・回復を目指しています。

Conservation
巣箱設置によるフクロウの繁殖支援
これまで私たちは、鈴鹿山脈の山麓地域を中心に、保護および生態研究を目的として、70基以上のフクロウ用大型巣箱を設置してきました。
野生のフクロウは、樹洞や切り株のくぼみ、タカ類の古巣、地表など、多様な場所で営巣・繁殖することが報告されています。こうした知見から、フクロウは巣の形状や構造に対して比較的柔軟に適応できる種であることが明らかになっています。
巣箱設置において最も重要なのは、フクロウが安心して安全に繁殖できる環境を整えることです。そのため、狩場や水場に近い森林の林縁部を中心に設置場所を選定しています。また、フクロウだけでなく、他の野生動物や人の生活環境への影響にも十分配慮することを基本方針としています。
本プロジェクトでは、行政、森林組合、企業、自治会など多様な主体と連携しながら、四日市市、菰野町、いなべ市、津市、多気町など、三重県内の複数地域で巣箱設置を進めてきました。地域との協働を通じて、持続可能なフクロウ保全の仕組みづくりを目指しています。

Research
生態研究・ペリット分析・繁殖地推定/発信機による行動調査/AIを活用した個体識別
三重県では、フクロウは概ね3月上旬から抱卵を開始します。繁殖期に向けて親鳥が敏感になる秋〜冬にかけては、巣箱周辺での調査を控えることを基本方針としています。繁殖期間中の調査は、距離を確保し、訪問回数や滞在時間を最小限にするなど、個体への負担を抑える配慮のもとで実施します。
繁殖後には、巣箱内に残されたペリット(吐き戻し)を回収し、内容物の同定を通して食性を解析しています。鈴鹿山麓で得られたデータからは、給餌された餌動物のうち半数以上がカエル類であることが示されました。地域ごとの主要な餌資源を明らかにすることで、フクロウだけでなく、餌動物や生息環境を含めた総合的な保全につなげたいと考えています。
また、繁殖地の推定、発信機(トランスミッター)を用いた行動調査、AIを活用した個体識別など、調査手法の高度化にも取り組んでいます。研究成果は、日本鳥学会をはじめとする学会等で発表しています。
調査は関係法令・ガイドラインを遵守し、許可が必要な場合は適切に手続きを行った上で実施しています。

Education & Outreach
フクロウの生態や魅力の発信/地域と協働した巣箱の設置
私たちは、フクロウの生態やその魅力を地域社会と共有することを重視し、大人から子どもまでを対象とした体験型の講演会や学習活動を実施しています。フクロウを切り口に、生物多様性や自然環境を守る意義を分かりやすく伝えることで、地域全体の理解と関心を高めることを目指しています。
また、地域の人々と共に巣箱づくりや設置に取り組み、「自分たちの活動」から「地域みんなの活動」へと広げていくことを大切にしています。森林生態系におけるアンブレラ種であるフクロウをシンボルとし、本活動の理念に共感する地域団体や企業と連携・協働しながら、生物多様性保全の輪を着実に広げています。
さらに、研究によって明らかになったフクロウの生態や繁殖環境に関する知見を、地域へ積極的に発信しています。近年では、地域のNPOなどから巣箱設置の相談や協力依頼を受ける機会も増えており、これまでの成功例だけでなく、失敗から得られた教訓も含めて、効果的な巣箱設置の方法を共有しています。